モンゴルの話

「ハイテク遊牧民計画」
先日、テレビをつけたらいきなり耳の飛び込んできた言葉です。

放牧の移動生活をするため必要最低限のものしか持たない、機能的かつ質素なモンゴルの遊牧民の生活には以前、私は、共感と憧れのようなものを持っていました。
モンゴルでは今や大相撲中継で故国の英雄を見るためにテレビは必需品で、冷蔵庫や他の電化製品も欲しくなる。

広大なモンゴルを移動生活して来た彼らには電線引っ張ってきて電気が来てる訳ではない。そうなるとバッテリーが必要で、車のバッテリーを皆持っているのだそうだ。でもそれは2.3年で寿命が来る。するとウランバートルまで買いにゆかなければならない。そして使えなくなったバッテリーは草原の片隅に放置される。なんてこった。

民主化して数年後のモンゴルにツアーで行ったことがあります。その数年前、崩壊前のソ連へ行きシベリア鉄道に乗り、途中乗車して来たモンゴル人が、どう見ても日本人にしか見えず話しかけても通じずびっくりした経験から、私はモンゴルに興味を持っていました。そのため旅行前にモンゴル関係の本も10冊以上読んでいました。モンゴルの事情をある程度理解していたつもりです。

その時のツアーのガイドブックには、「タバコ吸い殻とかゴミとかをやたらに捨てるとそれを羊がたべてしまい、大変なことになる。大きな草原は世界的に見ても大切であり環境問題的に考えても大切にしなければならない」とありました。ところがいざモンゴルの草原に行くと、日本からのツアーガイドも、モンゴル人の通訳も平気でタバコのポイ捨てをやっていた。当時、私も愛煙家だったので気をつけねばと持っていたポケット灰皿をでガイド氏&通訳氏に差し出したら鼻で笑われてしまった。

ツアー旅行だったのですが、バブルがはじけた頃だったからでしょうか、すでにいろんな国に行き尽くして、気軽にいけるようになって数年のモンゴルに物珍しさからやってきた旅なれた裕福な人が多かったように思います。
それにたいしてモンゴル人は素朴で人懐っこく、作物など作らない民族がホテルの裏庭で一生懸命作ったであろう、彼らからしたら最高の野菜を最高出してくれたり一所懸命もてなしてくれた。でも裕福?な日本人は喜ぶどころかこんなものは喰えない言われてしまう。
そのギャップに今のモンゴルは、もうその時に見えていたといってもいいのだが…。

話はちょっと違う方へ言ってしまいました。今も決して裕福でない遊牧民のために、電気を使わない冷蔵庫を考案した日本の学者さんがいました。黒い水が入れられた沢山のビン。「気化熱」「放射冷却」を利用した冷蔵庫で晴天率が高く、1日の寒暖の差が激しい高原のモンゴルにこそあったシステムだそうです。日本に持って来てもほとんど役に立ちません.
適材適所、言葉の使い方があってるのかわかりませんがそんな感じですね。

そしてその先生は3年くらいで寿命が来たバッテリーをよみがえらせるシステムも考案されたそうです。そうすると新しくバッテリーを買うのの半分くらいの金額ですみ、しかも使い古されたバッテリーが草原にごろごろ落ちてるようなことも無くなる。そういうことなどを「ハイテク遊牧民計画」と呼んでるのだそうだ。うーん凄い。

暮らしが良くなってもそれまでの文化の良いものを失ったり環境が変わってしまったらなんにもならない。そこを真剣に考えるて手助けをするこの先生には拍手をおくりたい。

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